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神戸地方裁判所 昭和54年(ワ)611号 判決

原告

福谷財産区

右管理者神戸市長

宮崎辰雄

右訴訟代理人

安藤真一

奥村孝

石丸鉄太郎

鎌田哲夫

被告

新日本観光興業株式会社

右代表者

佐々木史郎

右訴訟代理人

曽我乙彦

有田義政

金坂喜好

影田清晴

主文

原告が被告に賃貸している別紙目録記載の土地の賃料は、昭和五二年九月一日以降昭和五五年一〇月一二日まで一か年金二三〇〇万円、昭和五五年一〇月一三日以降一か年金二六〇七万三〇〇〇円であることを確認する。

原告のその余の請求を棄却する。

訴訟費用はこれを五分し、その三を原告の、その余を被告の、負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  原告が被告に賃貸している別紙目録記載の土地の賃料は、昭和五二年九月一日以降昭和五五年八月三一日まで一か年金二七〇五万三〇〇〇円、昭和五五年九月一日以降一か年金三二六八万円であることを確認する。

2  訴訟費用は被告の被告とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求の原因(及び被告の主張に対する反論)

1  原告は、その所有にかかる別紙目録記載の土地(以下、本件土地という。)を、ゴルフ場用地として、昭和三九年九月一日から、被告に賃貸している(以下、本件賃貸借という。)

原告は、被告との間で、本件賃貸借契約成立以来、次のように賃料の改訂を行なつてきた。

(一) 昭和四四年四月一日以降、年額四〇一万〇二二〇円(坪当り三六円)

(二) 昭和四七年四月一日以降、年額四八一万二二六四円(坪当り43.2円)

(三) 昭和四八年四月一日以降、午額八〇八万三九三五円(坪当り72.57円)

(四) 昭和四九年九月一日以降、年額二一九七万五一三五円(坪当り一九五円)

2  本件賃貸借においては、従前の契約には賃料改定の時期が明確に約定されていなかつたところから、改定に際し紛争が生じがちであつたため、原告は、被告との間で、昭和四九年九月一日以降新たに三年毎にその時の経済状況にあつた適正賃料額に改定する旨の約定をした。本件賃貸借には借地法の適用はないが、事情に変更があつた場合に賃料増額請求をなし得ることは、慣習法として判例も認めるところであり、右約定は、右の慣習法のもとに、三年毎に新たな経済事情に応じた適正賃料額の改定請求をなし得る旨を定めたものである。

土地の賃料は、比隣の賃料との相当性もさることながら、土地所有者の賃貸土地に対する収益性に着目して定められるべきものである。そして、本件土地は公有財産であり、その運用は客観的に公正であることが要請されるところ、被告の右土地利用は営利のためであるから、特に低廉に定めるべき理由はない。本件賃貸借においても、契約当初は本件土地の当時の時価に着目して定められたが、前記各増額時点においてもそのようにあるべきところ、被告が容易に増額交渉に応じなかつたため、止むを得ず増額は低く押えられてきた。右昭和四九年九月一日以降の賃料改定に関する約定は、原告の主張により成立したもので、その趣旨は、賃料額は、三年間据置きとするかわりに、三年毎に本件土地の時価を評価し、その収益性によつて算出された額に改定する、というものである。

3  原告は、昭和五二年九月一日の賃料改定時期に先立つ同年七月四日頃から被告に対して改定のための協議を申入れ、同年八月、固定資産評価替を基準として、約二七パーセントの増額を通告し、被告がこれに応じないので、やむをえず、株式会社山陽不動産研究所の鑑定結果に基づき、被告に対し、昭和五二年九月一日以降の賃料額を約二三パーセント増額の二七〇五万三〇〇〇円に改定する旨を通告した。

(一) 右増額請求をした賃料額は、昭和五二年九月一日現在の本件土地の時価一四億九七五九万五〇〇〇円を基準とし、その収益性に着目して定めた額であり、その相当賃料額は三〇四二万九〇〇〇円となるところ、被告から一時金二〇〇〇万円を受領している点を考慮に入れて、算出したものである。

(二) 昭和四九年九月一日の賃料改定時点における本件土地の時価一三億一五〇五万二〇〇〇円を主体として算定したその相当賃料額は、二七一八万円であつた。それをかなり低額に改定したのは、従来の賃料が極めて低廉であつたため原告において被告の負担を考慮して敢て譲歩した結果である。

(三) 被告が本件土地を使用している神戸明石ゴルフ場は、本件土地と被告が賃借している民有地とで形成されているが民有地の坪当り年間賃料額は、山林原野部分については、昭和四七年が四三円、昭和四八年一九〇円、昭和四九年が二三二円で、昭和五三年には二六〇円となつており、田畑部分については、昭和四七年が一一五円、昭和四八年が二八五円、昭和四九年が三四八円で、昭和五三年には三九〇円となつている。原告の本件土地に関する昭和五二年の改定請求分は坪当り二四〇円で、これは民有地山林原野部分の昭和四九年時点の賃料額にほぼ匹敵するものであるが、地質形質に差異のない同一地域の本件土地が賃料において民有地と区分される理由はない。

(四) なお、舞子ゴルフ場及び北神戸ゴルフ場はいずれも社団法人神戸国際カントリー倶楽部が経営するゴルフ場であるが、市有地舞子ゴルフ場敷地の賃料は過去五年以上にわたつて毎年二〇パーセント以上の増額を行なつているのみならず、社団法人神戸国際カントリー倶楽部は、賃料とは別途に、年平均一億四〇〇〇万円を神戸市に寄附しており、実質賃料という点でははるかに高額なものである。

4  原告は、昭和五二年九月一日の賃料改定時期から更に三年を経過したので、被告に対し、昭和五五年九月一日からの賃料を一か年三二六八万円に増額することを、昭和五五年一〇月一三日付訴変更申立書により同日通知した。

本件土地の一平方メートル当りの固定資産評価見込額は、昭和五二年度が一〇〇〇円、昭和五五年度が一二〇〇円である(地価公示額は、垂水区では、昭和五二年一月を一〇〇とすれば、昭和五五年一月は住宅地で一二七、全体で一二五であり、六大都市市街地で、昭和五二年二月を一〇〇とすれば昭和五五年三月は一二五である。)から、本件土地の適正賃料額も二〇パーセント増となるものと考えられる。

二  請求の原因に対する認否及び被告の主張

1  請求の原因1の事実は認める。

2  同2の事実中、昭和四九年九月一日に本件賃貸借契約の更新契約をしたことは認めるが、その余は争う。

3  同3は争う。被告が原告から二七パーセントの増額通知を受けたのは、昭和五二年一〇月一一日付書面によつてである。

4  同4の事実中、被告が原告からその主張どおりの増額の通知を受けたことは認めるが、その余は争う。本件土地は非課税であり、地価公示は主に宅地に関するものであつて、本件土地のような山林については妥当しない。

5(一)  被告は、昭和三九年九月一日、原告から、地方税法第三四八条により固定資産税も課税されない山林である本件土地を、ゴルフ場コース用地として賃借し、莫大な費用を投下してこれをゴルフ場に造成し、爾来、多大の費用をかけてこれを維持管理し、ゴルフコースとして使用している。

(二)  被告が、昭和四九年度に従前の賃料額の2.7倍にも相当する賃料の増額に応じたのは、右賃料額が適正であつたからではない。右の賃料改定の際、原告は被告に対して、昭和四九年八月末日に約定の賃貸借期間が満了するが、右賃料増額に応じなければこれを更新しない旨通知してきた。被告としては、右(一)の投下資本の回収をはかるため、できるかぎり長期間にわたる使用収益を必要としていたので、専ら原告の本件土地の明渡請求によつて生ずるゴルフ事業を失うという莫大な損害を防止するため、やむなく右過大な増額改定に応じたものである。

(三)  昭和四九年九月一日の賃料増額がその時点で過大であつただけでなく、被告は、原告に対し、一時金として二〇〇〇万円を支払つている。

(四)  なお、本件土地は固定資産税も課税されていない公有財産で、営利を目的として賃貸されているわけではないうえ被告がゴルフ場用地として賃借している民有地に比べて位置的にも市街地から遠い。しかも、民有地に関しては一時金の支払もない。したがつて、民有地の賃料の方が高額となつても不自然ではない。

(五)  因みに、他のゴルフ場における坪当り賃料年額は、

(1) 社団法人神戸国際カントリー倶楽部、舞子ゴルフ場(九九パーセント以上が神戸市所有地である。)については昭和五四年九月時点で164.71円

(2) 北神戸ゴルフ場(殆んどが民有地である。)については、昭和五四年九月時点で一六五円

である。

一般に、賃料増額請求権は、賃貸土地に対する租税その他の負担の増加、賃貸土地価格の高騰、比隣賃料の高額化などの経済的事情の変動により、従前賃料額を維持されることが公平の観念上不相当と認められるまでに低廉となつたことを成立の要件とし、更に、従前賃料額決定の時点から相当期間を経過していることが要求されているが、借地法の適用のないゴルフ場用地の賃貸借にあつては、単純に収益性のみに着目するのではなく、特に種々の事情を考慮して賃料額を決せられるべき必要性が強いと考えられる。上記の諸事情等を考えれば、単に三年間経過したという事情だけによる本件各増額請求は到底認容されるべきではない。

第三  証拠〈省略〉

理由

一請求原因1の事実及び昭和四九年九月一日に本件賃貸借契約の更新契約がなされたこと、並びに、原告が被告に対し昭和五五年九月一日からの賃料を一か年三二六八万円に増額する旨同年一〇月一三日付訴変更申立書により同日通知したことは、いずれも当事者間に争いがない。

二まず、事実関係を検討する。

1  〈証拠〉によれば、次の事実が認められる。

本件賃貸借は、被告が、本件土地をゴルフコース敷地として使用する目的で賃借したものであるところ、

(一)  当初、契約期間は昭和三九年九月一日から昭和四九年八月三一日までの一〇年間とし、契約を更新するには被告において期間満了前三〇日までに原告に更新の承認を受けなければならない、賃料は年額三二三万九八五〇円をその年の四月三〇日に支払うものとするが、契約期間中であつても土地価格の変動及び公租公課の改訂時期にその時の経済事情を考慮し双方協議のうえ増減することができる、旨の約定がなされ、なお、被告から原告に、保証金一六一万九九二五円を、本件土地返還時に全額の返戻を受ける約束で、差入れていた。

(二)  その後更新されたが、その際、契約期間は昭和四九年九月一日から昭和五九年八月三一日までの一〇年間とする、賃料改定は三年毎とし、その時の経済状況を考慮し双方協議のうえ決定するものとし、そのよるべき基準等については別途覚書を締結することができる、旨の約定がなされ、なお、被告から原告に対し、保証金一〇九八万七六八七円を、本件土地返還時に全額返戻を受ける約束で差入れており、更に、一時金として二〇〇〇万円を支払つている。右約定にかかる覚書は作成されていない。

(三)  右更新に先立ち、昭和四九年五月頃、原告から被告に対して賃料を坪当り二四〇円に増額する旨の改定の申入れがなされ、被告が渋つたため、以後、交渉は難航していたが、原告は、その際、契約期間満了の時期であることを、ある程度右交渉に有利な材料として利用した模様である。もつとも、後記3以下で認定する事実関係、就中、同6の(二)の(4)(5)及び(四)の(4)(5)の事実に照らせば、あながち不当という程のものがあつたとは認めがたいところである。

(四)  原告は、昭和五二年八月二四日頃、被告の代理人として神戸市の理財局管財課を訪れた糸山武生らに対し、昭和五二年九月一日以降の賃料を年額二七九〇万八四二二円に増額改定する旨、通知した。

2  〈証拠〉によれば、次の事実が認められる。

(一)  本件土地は、神戸市の西部、国鉄山陽本線明石駅の北方約九キロメートルに所在し、近隣は、従来からの農村地域で、標高一〇〇メートル余りのゆるやかな傾斜の丘陵と、低地部の農地が混在しているが、近年は規模六四二ヘクタールの西神ニュータウン、二四九ヘクタールの工業団地等の開発が進められて、急速に都市化しつつあり、これらの開発行為が要因となつて、市街化調整区域にありながら、本件土地の価格も高水準である。

(二)  本件土地は、昭和四〇年八月にオープンした、総面積約七〇万平方メートル、一八ホール、パー七二、コース距離五七八九乃至六〇三七メートル、コースレート69.7の、明石新日本ゴルフ場(以下、明石ゴルフ場という。普通程度の品等のゴルフ場である。)用地として使用されている。同ゴルフ場は、ほぼ南北に通じる県道神戸加古川姫路線によつて二分されているが、本件土地は、その双方の、おおむね各北半部分に位置し、被告所有地及び主として各南半部分にある民有地の借地と混在している。

(三)  ゴルフは、昭和四〇年代の経済の高度成長に伴う国民の所得の伸びと共に大衆化し、ゴルフ人口の急増に伴い、昭和四八年から昭和五〇年にかけて年間一〇〇以上のゴルフ場がオープンしたが、その頃をピークとして、昭和五一年頃からゴルフ場の利用需給状況が悪化し、現在は全国ゴルフ場の六〇パーセント以上が赤字といわれており、今後も当分の間は供給過剰の状態が続くものと考えられる。

(四)  被告は、本件賃貸借により、山林原野であつた本件土地を賃借して、自らゴルフ場として造成したものであるが、現在市街化調整区域にあるので、近くに開発区域があるとはいえ、宅地見込地としての熟成度は低く、現況のようなゴルフ場としての利用がほぼ最有効の利用方法と考えられる。

3  鑑定の結果によれば、次の事実が認められる。

不動産鑑定士和田良示の本件土地の適正賃料についての鑑定評価は、次のとおりである(以下、和田鑑定という。)。

(一)  昭和五二年九月一日時点の賃料について、

(1) 近隣地域及び同一需給圏内の類似地域における同類型の土地(山林)の三取引事例(櫨谷町長谷昭和五二年三月一平方メートル当り四一七五円、伊川谷井吹昭和五一年九月同四〇〇〇円、櫨谷町福谷昭和五二年五月同三七四〇円)につき、事情補正、時点修正をし、地域格差を考慮したものを資料とし、これと本件土地の価格を形成する諸要囚等を比較し、なお県道に接面する部分がある等のプラス要因を補正して、本件土地の山林素地としての価格を一平方メートル当り四一〇〇円(総額一五億二七四〇万円)と試算し、

(2) 差額配分法(折半法を採用)を適用して、山林素地価格から借地人の利益に帰属する自然発生的借地権相当額五〇パーセントを控除した在地価格、一平方メートル当り二〇五〇円を基礎価格とし、これに期待利回り年間四パーセントを乗じて年間純賃料同八二円を算出し、これに必要経費として推定固定資産税額(推定評価額同一二円に税率1.4パーセントを乗じたもの)同0.16円及び年間純賃料の三パーセントの管理費同2.46円を加算した正常実質賃料同84.62円から、実質支払賃料同58.99円を控除した額の二分の一の差額配分額同12.81円を求め、これを実質支払賃料に加算して改訂実質賃料同71.8円(総額二六八四万八〇八五円)を算出し、保証金一〇九八万七五六七円の運用益(運用利回り七パーセント)同2.06円を控除して、改訂支払賃料同69.74円(総額二五九八万〇六六一円)を算出し、

(3) スライド法を適用して、昭和四九年九月一日現在の純賃料(実質支払賃料一平方メートル当り58.99円に、保証金の運用益同2.06円を加えたもの)同61.05円に、スライド指数((ア)乃至(エ)は、昭和五二年九月/昭和四九年九月)として、(ア)総理府消費者物価指数(391.5/300.7)、(イ)日銀卸売物価指数(193.3/179.4)、(ウ)全国市街地価格指数(二八〇七/二八四九)、(エ)六大都市用途地域平均指数(三三一三/三四五九)、(オ)県基準地都市近郊林地変動率(1.06)をそれぞれ乗じたものの単純平均値同65.72円を純賃料とし、これに、必要経費として推定固定資産税額同0.16円及び純賃料の三パーセントの管理費同1.97円を加算して、実質賃料同67.85円(総額二五二七万六五六八円)、支払賃料同65.79円(同二四五〇万九一四四円)を算出し、

(4) 比準法につき、参考例として、同一ゴルフ場内の民有地山林の改訂支払賃料、昭和四九年四月一日契約更改、一平方メートル当り70.18円、昭和五三年四月一日契約更改、同78.57円、を掲げ、

以上のほか、現下の不動産需要の動向や、一般経済状勢を総合的に関連づけて検討した結果、実質賃料年額二六〇一万円(一平方メートル当り69.82円)、支払賃料同二五二四万三〇〇〇円(同67.76円)と決定し、

(二)  昭和五五年九月一日時点の賃料について、

(1) 右(一)の(1)の場合と同様に、六取引事例(伊川谷町井吹西村昭和五四年七月一平方メートル当り四五〇〇円、同所同年五月同四六六〇円、同所同年一月同四三六九円、櫨谷町池谷同年七月同四五〇〇円、同町長谷同年一月同四四二五円、同町福谷同年九月同四二一〇円)につき修正等を加えた賃料と比較し、なお同様のプラス要因を補正して本件土地の山林素地としての価格を同四五〇〇円(総額一六億七六四一万二〇〇〇円)と試算し、

(2) 差額配分法を適用して、右(一)の(2)の場合と同様に、年間純賃料一平方メートル当り九〇円を算出し、推定評価額同一四円として算出した必要経費合計同2.89円を加算した正常実質賃料同92.89円から、実質支払賃料同58.99円を控除した額の二分の一の差額配分額同16.95円を求め、これを実質支払賃料に加算して改定実質賃料同75.94円(総額二八二九万〇三八四円)を算出し、なお、保証金の運用益同2.06円を控除して改定支払賃料同73.88円(総額二七五二万二九六〇円)を算出し、

(3) スライド法を適用して、昭和四九年九月一日現在の純賃料一平方メートル当り61.05円に、右(一)の(3)の場合と同様にして、スライド指数((ア)乃至(エ)は昭和五五年九月/昭和四九年一月)として、(ア)(456.0/300.7)、(イ)(242.1/176.4)、(ウ)(三三八〇/二八四九)、(エ)(四二八三/三四五九)、(オ)(1.16)をそれぞれ乗じたものの単純平均値同78.76円を純賃料とし、これに必要経費として右(2)と同様にして求めた推定固定資産税額同0.19円及び純賃料の三パーセントの管理費同2.36円を加算して、実質賃料同81.31円(総額三〇二九万〇九〇三円)、支払賃料同79.25円(総額二九五二万三四七八円)を算出し、

以上及び右(一)の(4)につき、右(一)の場合と同様に検討した結果、実質賃料額二九二八万八〇〇〇円(一平方メートル当り78.62円)、支払賃料同二八五二万一〇〇〇円(同76.56円)と決定している。

(三)  なお、右鑑定評価は、右2の(一)乃至(四)の事情をふまえてなされているものである。

4  前掲甲第五号証によれば、次の事実が認められる。

原告の依頼により株式会社山陽不動産鑑定研究所がした本件土地の適正賃料についての鑑定評価は、次のとおりである(以下、山陽鑑定という。)。

(一)  昭和四九年九月一日時点の賃料について、

(1) 原価方式による積算賃料として、本件土地の近隣に位置する山林の三取引事例(昭和四八年八月一平方メートル当り四三七〇円、同年四月同三〇三〇円、同年一〇月同六〇〇〇円)につき、事情補正、時点修正をし、地域格差を考慮して現在推定標準価格を出し、その中庸値同三五三〇円をもつて比準価格と決定し、小作権の付着した農地の地主、小作人の権利割合等を勘案して本件土地の基礎価格をその四〇パーセントの同一四一〇円とし、これに期待利回り五パーセントを乗じ、二パーセントの管理費を加えて、同71.94円(総額約二六八〇万円)を算出し、

(2) 収益方式による収益賃料をゴルフ場支配人からの事情聴取とゴルフ場経営専門誌ゼミナー及びTKC経営指標等により収益費用を推定して、総額二九四九万二〇〇〇円(一平方メートル当り79.17円)と試算し、

(3) 比較方式による比率賃料を、適当な賃貸借四事例を選択しこれに事情補正、時点修正を加え、地域・個別的要因を比較して求めた本件土地推定賃料から、一平方メートル当り75.00円、総額約二七九四万円と試算し、

右三者のうち最も精度が高いと認められる(1)に重点をおいて得た年額二七一八万円(一平方メートル当り72.96円)を適正実質賃料と決定し、

(二)  昭和五二年九月一日時点の賃料について、昭和四九年九月一日に実際実質賃料が年額二七一八万円に改定されていることを前提として、

(1) 原価方式による積算賃料として、本件土地の近隣に位置する山林の三取引事例(昭和五〇年一〇月一平方メートル当り四五〇〇円、昭和五二年一二月同三七四〇円、昭和五一年六月同三二〇〇円)につき、事情補正、時点修正をし、地域格差を考慮して現在推定標準価格を出し、その中庸値同四〇二〇円をもつて比準価格とし、右(一)の(1)と同様にして本件土地の基準価格を同一六一〇円とし、これに前回合意時の実績利回り4.72パーセントを乗じ、二パーセントの管理費を加えて、同77.54円(総額約二八八八万六〇〇〇円)を算出し、

(2) 収益方式による収益賃料を、右(一)の(2)と同様にして、総額二九七〇万六〇〇〇円(一平方メートル当り79.74円)と試算し、

(3) 比較方式による比準賃料を、適当な賃貸借四事例につき右(一)の(3)と同様にして、一平方メートル当り90.00円総額約三三五二万八〇〇〇円と試算し、

(4) 変動率適用法に基づく試算賃料として、ゴルフ場の賃料試算に係りありと認められる諸指標は、昭和四九年九月時点を一〇〇とすると、昭和五二年九月時点では、①地価113.9、②固定資産税172.2、③国民所得142.2、④個人消費支出154.4、⑤消費者物価130.9、⑥ゴルフ場入場者数延・全国116.1、兵庫県104.3、一ゴルフ場当り・全国86.1、兵庫県90.2となるので、右①②の上昇率に積算賃料構成比により求め割合でウエイトを付し、これに右③乃至⑥の上昇率を総合的に勘案して得た修正率を乗じて変動率を二〇パーセントと決定し、昭和四九年九月一日時点の実質賃料一平方メートル当り68.05円に1.20を乗じて、同81.66円総額約三〇四二万一〇〇〇円を算出し、

右四者のうちから(1)と(4)に重点を置いて得た年額三〇四二万九〇〇〇円(一平方メートル当り81.68円を適正実質賃料とし、なお、保証金一〇九八万七五八七円の運用益六五万九〇〇〇円、一時金二〇〇〇万円の運用益償却額二七一万七〇〇〇円合計三三七万六〇〇〇円を控除して、二七〇五万三〇〇〇円を適正支払賃料と決定している。

(三)  なお、右の鑑定評価も、右2の(一)乃至(四)と同様の事情をふまえているものである。

5  前掲乙第一号証によれば、次の事実が認められる。

被告の依頼により財団法人日本不動産研究所がした本件土地の適正賃料について鑑定評価は、次のとおりである(以下、日本不動産鑑定という。)。

(一)  本件土地の価格を、

(1) 昭和五五年九月一日の時点について、昭和五五年の公示価格(公示地兵庫垂水一三―三)一平方メートル当り三六〇〇円に時点修正、地域格差修正等を加えた同四二〇〇円と、いずれも櫨谷町の雑木山林の四取引事例(池谷昭和五四年七月同四五〇〇円、福谷同年九月同四二五〇円、長谷同年一月同四四二五円、福谷同年九月同四二一〇円)に時点修正、地域格差修正を加えたものを比較検討して、標準価格を同四四〇〇円と査定し、本件土地の個別的要囚を考慮して、総額一六億三九〇〇万円と査定し、

(2) 昭和五二年四月一日の時点について、右(1)の標準価格を遡及時点修正した一平方メートル当り三九四〇円と、いずれも櫨谷町の雑木林地の二取引事例(長谷昭和五二年三月同四一七五円、松本昭和五〇年一二月同四五〇〇円)に右(1)同様の修正を加えたものを比較検討し、同様の考慮に基づき、総額一四億六八〇〇万円と査定し、

(二)  昭和五二年四月一日時点の賃料について、

(1) 差額配分法(折半法を採用)を適用して、右本件土地の価格から賃借権価格の発生及び用途制限に基づく契約減価分各三〇パーセントを控除して五億八七二〇万円を基礎価格とし、これに期待利回り五パーセントを乗じて経済価値に既応した適正賃料二九三六万円を算出し、これから、実質支払賃料二一九七万五一三五円に保証金一〇九八万七五六七円の運用益(運用利回り七パーセント)七六万九一三〇円及び一時金二〇〇〇万円の償却額(期間一〇年、年利率七パーセントの年賦償還率0.14238)二八四万七六〇〇円を加算した実際実質賃料二五五九万一八六五円、を控除した額の二分の一の貸主帰属部分一八八万四〇六八円を、実際実質賃料に加算して試算実質賃料二七四七方五九三三円、実際支払賃料に加算して試算支払賃料二三八五万九二〇三円を、算出し、

(2) スライド法を適用して、昭和四九年九月一日現在の実際支払賃料二、一九七万五一三五円に、スライド指数として土地価格(兵庫県内の林地価格のうち、本件土地とほぼ同類型である都市近郊林地価格)の変動指数(昭和五二年四月/昭和四九年九月は104.9/100)を乗じて試算支払賃料二三〇五万一九一六円を算出し、これに保証金運用益及び一時金償却額合計三六一万六七三〇円を加算して試算実質賃料二六六六万八六四六円を算出し、

(3) 比準法を適用して、櫨谷町友清所在大神戸新日本ゴルフ場(以下、大神戸ゴルフ場という。)の賃貸借事例の昭和五〇年一〇月改訂の実際実質賃料一平方メートル当り68.71円に時点修正を加え、地域・個別的格差を考慮して、比準試算実質賃料を同69.38円(総額二五八四万六五四七円)、同支払賃料を総額二二二二万九八一七円と査定し、

右三者の平均値を採用して、年額支払賃料二三〇四万七〇〇〇円(一平方メートル当り61.87円)、午額実質賃料二六六六万四〇〇〇円(同71.57円)と決定し、

(三)  昭和五五年九月一日時点の賃料について、昭和五二年四月一日に実際支払賃料が二三〇四万七〇〇〇円に改訂されていることを前提として、

(1) 差額配分法を適用して、右(二)の(1)と同様にして経済価値に既流した適正賃料三二七八万円を算出し、これから実際支払賃料二三〇四万七〇〇〇円に保証金運用益及び一時金償却額合計三六一万六七三〇円を加算した実際実質賃料二六六六万三七三〇円を控除した額の二分の一の貸主帰属部分三〇五万八一三五円を、実際実質賃料に加算して試算実質賃料二九七二万一八六五円を、実際支払賃料に加算して試算支払賃料二六一〇万五一三五円を、算出し、

(2) スライド法を適用して、実際支払賃料二三〇四万七〇〇〇円に右(二)の(2)と同様のスライド指数(昭和五五年九月/昭和五二年四月は117.0/104.9)を乗じて試算支払賃料二五七〇万五四二四円を算出し、これに保証金運用益及び一時金償却額合計三六一万六七三〇円を加算して試算実質賃料二九三二万二一五四円を算出し、

(3) 比準法を適用して、大神戸ゴルフ場の賃貸借事例の昭和五三年一〇月改訂の実際実質賃料一平方メートル当り71.66円に、右(二)の(3)と同様の修正、考慮を加えて、比準試算実質賃料を同75.83円(総額二八二四万九四〇四円)、同支払賃料を総額二四六三万二六七四円と査定し、

右三者の平均値を採用して、年額支払賃料二五四八万一〇〇〇円(一平方メートル当り68.40円)、年額実質賃料二九〇九万八〇〇〇円(同78.11円)と決定している。

(四)  なお、右の鑑定評価も、右2の(一)乃至(四)と同様の事情をふまえてなされているものである。

6  〈証拠〉によれば、次の事実が認められる。

被告は、原告から賃借した本件土地のほか民有地6万8977.5坪を賃借し、これらを用地として明石ゴルフ場を経営しているが、そのほかに、友清財産区有地五万三九八八坪、民有地一五万六七七二坪を賃借し、これらを用地として大神戸ゴルフ場を経営しているが、それらの現在までの各年間坪当り賃料額の改定の状況は次のとおりである。

(一)  本件土地一一万二六九三坪(この頃の事実は、当事者間に争いがない。)

(1) 昭和三九年九月以降 三〇円

(2) 昭和四四年四月以降 三六円

(3) 昭和四七年四月以降 43.20円

(4) 昭和四八年四月以降 72.57円

(5) 昭和四九年九月以降 一九五円

(二)  明石ゴルフ場民有地山林原野部分

(1) 昭和三九年九月以降 三〇円

(2) 昭和四五年一月以降 三六円

(3) 昭和四七年四月以降 43.20円

(4) 昭和四八年九月以降 一九〇円

(税込)

(5) 昭和四九年九月以降 二三二円

(税込)

(6) 昭和五三年四月以降 243.60円(税込)

(7) 昭和五五年九月以降 231.36円プラス固定資産税

(三)  大神戸ゴルフ場友清財産区有地

(1) 昭和三九年九月以降 三〇円

(2) 昭和四四年四月以降 三六円

(3) 昭和四七年四月以降 43.20円

(4) 昭和四八年四月以降 72.57円

(5) 昭和五〇年四月以降 一六〇円

(6) 昭和五〇年一〇月以降 一九五円

(7) 昭和五三年一〇月以降 204.75円

(8) 昭和五六年一〇月以降 231.36円

(四)  大神戸ゴルフ場民有地山林原野部分

(1) 昭和三九年九月以降 30.12円

(2) 昭和四五年一月以降 36.19円

(3) 昭和四七年四月以降 43.38円

(4) 昭和四八年五月以降 一九〇円

(税込)

(5) 昭和五〇年五月以降 二三二円

(税込)

(6) 昭和五三年四月以降 243.60円(税込)

(7) 昭和五六年五月以降 231.36円プラス固定資産税

なお、右(二)の(4)、(四)の(4)は、改定交渉が長期間にわたつて難航した挙句、解決時に過去に遡つて増額した結果である。右(三)の(5)乃至(6)の時点で、本件賃貸借におけると同様、相当額の一時金が支払われている。本訴の結果は、明石ゴルフ場民有地及び大明戸ゴルフ場用地の賃料に影響を及ぼす可能性がある。

7  〈証拠〉によれば、被告側が調査した結果では、舞子ゴルフ場、神戸国際カントリークラブ、北神戸ゴルフ場における賃借地の昭和五四年頃の年間坪当り賃料額はいずれも一六五円前後であることが認められるが、右数額のみを直ちに本件賃貸借における適正賃料額の判断の賃料とすることはできないものと考えられる。また、右6の(一)の(5)の改定時に支払われた一時金二〇〇〇万円については、証人前田利和が更新料である旨証言しているほか、その支払に関する事情は明らかでない。

三右二で認定した事実に基づき、原告の請求の当否を検討する。

1 右認定事実、就中二の1及び6の事実に弁論の全趣旨をあわせて考えれば、本件賃貸借契約においては、当初から、当事者双方に土地価格の変動等の経済事情の変化に基づく賃料増減額請求権が認められており、昭和四九年の更新時に賃料改定は三年毎とする旨新たな約定がなされているが、その趣旨は、この種の請求権が事情に変更があつたことを前提として認められるものであることにかんがみれば、右請求権の行使を三年に一度に制限し、協議が調わないときは、双方、増減額の請求がなされた時点において、裁判で確定される適正賃料額まで賃料が増減額されることを承認するものであると解される。

2 前記二の3乃至5の各鑑定評価にあらわれた、昭和四九年九月、昭和五二年九月、昭和五五年九月の各時点乃至その前後における、本件土地の価格、適正賃料の鑑定評価額、及び、同6の(二)乃至(四)の賃料改定経過に照らせば、原告において被告に対して賃料増額を請求した昭和五二年九月一日及び昭和五五年一〇月一三日の両時点においては、各従前の賃料額は、いずれも、土地価格の増額等により、不相当になつていたものと認められる。

3  そこで、右両時点における適正支払賃料額であるが、被告は、収益をあげるための営利事業として本件土地を賃借使用しているのであるから、その適正賃料額は、基本的には、その収益性に着目し、その時価評価に基づいて決定されるべきものと考えられる。

ところで、和田、山陽、日本不動産の三鑑定のうち、山陽鑑定は、その本件土地価格の評価額(昭和四九年九月時点、約一三億一五〇〇万円、昭和五二年九月時点、約一四億九七六〇万円)には他の二鑑定と大差がないのに、その適正賃料額は、山陽鑑定が採用した試算方式のうち最も低い額を得ており、同鑑定自体も精度が高いものと認めている原価方式による積算賃料をとつてみても、他の二鑑定に比べて相当高額となつている。その主たる理由は、他の二鑑定が昭和四九年の協議に基づく従前賃料額を適正なものとするところから出発しているのに対し山陽鑑定は、右従前賃料は不相当に低額であるとし、それが当然自己の鑑定にかかる適正賃料額にまで増額是正されるべきものであることを前是として、その後の賃料を試算しているところにある。しかしながら、ある時点において貸主借主間の合意に基づいて賃料額が改定された場合には、特別の理由により将来の是正を予定してあえて相当でない額を約定したというような特段の事情がある場合は格別、通常は、それはそれなりに当該賃貸借契約における主観的個別的事情を反映した相当性のある賃料額であると推認すべきものと考えられる。しかして、本件賃貸借の場合、証人前田利和の証言によれば、昭和四九年の賃料改定の際に、原告において一度に極端な増額になることを避けるため、多少交渉を手控えた面がうかがわれないではないけれども、さきに二の1及び6で認定したところにあらわれたその際の、たまたま更新の時期にあつたことからくる双方の力関係、約定(将来特段の是正をする旨の覚書は作成されていない。)、及びその後の明石ゴルフ場民有地、大神戸ゴルフ場用地に関する賃料改定状況に照らせば、その際、原告に、将来特段の是正をすることが当然であると考えられる程の大幅な譲歩があつたものとは、到底認めがたいところである。したがつて双方の合意に基づく従前賃料につき、そのよつてきたる所以に関しては何らの配慮をすることもないままに、その時点における自己の鑑定にかかる試算賃料との差額は全額当然に是正されるべきことを前提としてなされた山陽鑑定は、本件賃貸借における主観的個別的事情に対する配慮に欠けているものであつて、その余の点につき検討を加えるまでもなく、採用することができない。

和田鑑定と日本不動産鑑定については、各差配分法及びスライド法による賃料試算にあたり、前者が一口多額の賃料の試算にあたり管理費を純賃料の三パーセントとしている点、逆に後者は管理費を全く計上していない点に、若干の疑問が残るほか、各別にみて特に不当というべき点は見当らない。そして、和田鑑定と日本不動産鑑定とでは、その本件土地価格の評価額において、前者の方が、昭和五二年時点につき約四パーセント、昭和五五年時点について二パーセント強、後者を上回つているが、両者の試算実質賃料額は大差のないものとなつており、試算支払賃料額における両者の差は、専ら和田鑑定が昭和四九年の賃料改定時に支払われた一時金二〇〇〇万円を考慮に入れていないことによるものである。しかして、右一時金二〇〇〇万円については、前記二の6の(一)乃至(四)の各(3)乃至(5)の賃料改定の実情及び原告の依頼に基づいてなされた山陽鑑定においてもその償却額等を実質賃料から控除していることにかんがみればおおむね、日本不動産鑑定におけるが如く、期間一〇年とする償却額を実質賃料から控除するのが相当であると考えられる。

そこで、和田鑑定の試算支払賃料額から各二八四万七六〇〇円を控除した額(昭和五二年九月時点、二二三九万五四〇〇円、昭和五五年九月時点、二五六七万三四〇〇円)と日本不動産鑑定の試算支払賃料額(昭和五二年四月時点、二三〇四万七五〇〇円、昭和五五年九月時点、二五四八万一〇〇〇円)とを平均すると、昭和五二年九月時点のそれが二二七二万一二〇〇円、昭和五五年九月時点のそれが二五五七万七二〇〇円になるところ、なお、前記一時金二〇〇〇万円については、民有地に比べて賃料増額改定が遅れたこと乃至は当該改定時に改定賃料を若干低目に押えたことに対する埋合せの趣旨がないとも言い切れないこと、及び、日本不動産鑑定において管理費が加算されていないことを考慮し、これと、前記二の6の(三)の(7)の改定賃料坪当り204.75円、同(二)の(7)、(三)の(8)及び(四)の(7)の各改定賃料坪当り231.36円に本件土地の坪数一一万二六九三坪を乗ずると、それぞれ、二三〇七万三八九一円、二六〇七万二六九二円となること、を総合して考慮すると、本件土地の適正支払賃料は、昭和五二年九月一日時点では年額二三〇〇万円、昭和五五年一〇月一三日時点では年額二六〇七万三〇〇〇円であると認めるのが相当であり、本件賃貸借における賃料額は、原告の請求により、右の限度で増額されたものというべきである。

四以上の次第で、原告の本訴請求は、本件土地の賃料が、昭和五二年九月一日以降昭和五五年一〇月一二日まで一か年二三〇〇万円、昭和五五年一〇月一三日以降一か年二六〇七万三〇〇〇円であることの確認を求める限度で理由があるから、これを認容し、その余の部分は失当としてこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九二条を適用して、主文のとおり判決する。

(富澤達)

目録〈省略〉

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